岸田政権が国連演説で見せた「政治的リアリズム」 したたかに「アメリカの弱体化」を見越していた
「ウクライナやイスラエルで紛争が起こっている今、日本の最大のミッションは東アジアに紛争を飛び火させないこと」。そう語る元外務省主任分析官の佐藤優氏が、11月に行われるアメリカ大統領選挙の結果が日本に及ぼす影響と、その影響を最小限でしのぐための備えについて解説します。
※本稿は、佐藤氏の著書『佐藤優の特別講義 戦争と有事』から、一部を抜粋・編集してお届けします。
ハリスとトランプ、どちらが当選しても変わらない
「彼(トランプ大統領)は馬鹿野郎だ。彼に何かを説明するなんて意味が無い。常軌を逸している。我々はクレージータウンの中にいる。私は我々がなぜここにいるのかさえわからなくなる。これまででこんなにひどい仕事を経験したことはない」
という言葉が、ジャーナリストの立岩陽一郎の『トランプ報道のフェイクとファクト』に書かれています。これはトランプ政権下で大統領首席補佐官を務めたジョン・フランシス・ケリーがある会議で語ったものです。
この発言からもわかるように、多くの人々がトランプを常識はずれで危険な人物とみなしており、トランプ自身も実際に多くの奇行を行っています。それゆえ、「もしトラ(トランプが大統領選で勝利すること)」が実現すると、日本、韓国、北朝鮮、中国のパワーバランスに大きく変化があると考えられています。しかし、もしトラ現象は短期と中長期で分けて見る必要があると思います。
トピックボードAD
有料会員限定記事
キャリア・教育の人気記事
無料会員登録はこちら
ログインはこちら