実際に、大学に入ってからの石橋さんはずっと競争の中で練習を重ねました。自分と戦い続けた藝大の4年間を、「苦行だった」とも振り返ります。
「3浪目がいちばん楽しかった」と語る石橋さんに、浪人してよかったことを聞いたところ、「人と違う世界を見たことで、自分の感性や、やりたいことがはっきり見えたこと」、頑張れた理由については「音楽が好きだったから」と語ってくれました。
「自分だけの世界で物事を進めても、狭い範囲でしか物事を知ることができません。自分から違う世界に飛び込んで、いろんな人にアドバイスをもらえたことで、違う世界に目を向けたら、いろんな扉があるんだと気づけました」
藝大を卒業してからの石橋さんは、フリーランスの打楽器奏者として、約20年間、全国のオーケストラで客演をしながら、毎年さまざまな学校で自身の原点でもある吹奏楽部の指導を行っています。
ずっと音楽は続けたい
そして、コロナ禍になってからは、演奏をより多くの人に聴いてもらうためにYouTubeチャンネルもはじめました。
「フリーランスなので、1つひとつの仕事を命懸けでやらないといけないと思っています。オーケストラは、団員だけでは演奏できない曲がほとんどです。例えば5人で演奏する場合は、外部から2人呼ぶ、といったケースもあるのですが、そこに呼んでいただいています。
吹奏楽の外部講師の仕事も、いろんな先生方がお声がけしてくださるおかげで、毎年夏の吹奏楽コンクールの時期には毎月10校ほど指導で回らせていただいています。フリーランスがとても多い世界なので、競争の中で過ごしていますが、いろんな方に助けていただきながらなんとかやれています。
ここまでずっと音楽を続けることができているのは、まだ自分ができないことがあり、もっと上手になりたいから。ずっと勉強をしながら音楽は続けたいと思っています。浪人して変わったことの1つに諦めが悪くなったことがあるのですが、『努力すれば実る』という気持ちはこの年齢になってもまだあるので、頑張っていきたいです」
一度諦めた夢をかなえ、競争社会の中で生き抜く彼女のたくましさは、波瀾万丈の浪人生活が培ったものだと思いました。
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