「小泉進次郎首相」なら日本株は上昇するだろうか 自民党総裁選で最も株価が上がりそうな候補は

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第2次安倍政権で実現した金融緩和を前向きに評価しており、「『失われた30年』は日本銀行の金融政策の失敗が招いた」と総括している。黒田東彦前総裁と同様の政策を、現在の植田和男総裁にも求め続けるだろう。

また、高市氏は、財務省などが重視するプライマリーバランスの黒字化目標を相当柔軟に位置づけており、財政政策の機動的な発動にも積極的である。ただ、現状の財政政策の手段として、減税に関しては「今の経済状況であれば考えていない」と発言している。

小泉元環境相は金融財政政策の重要性を理解しているか

一方、現時点で最有力候補と報じられているのが、小泉進次郎元環境相である。小泉氏の記者会見では、金融財政政策に関する発言はほとんど聞かれなかった。同氏や、支援する政治家は金融財政政策に強い関心はないとみられ、解雇規制の見直し、ライドシェア解禁などの政策が重視されている。

解雇規制については現行の不透明なルールには問題が多いので、金銭解雇ルールを明確化することが望ましいと筆者は考えているが、企業による強制的な解雇が増えるかどうかはルール設定次第である。ただ、日本の解雇要件はOECD(経済協力開発機構)諸国の中で平均的なので、解雇規制ルールの見直しが実現しても、日本経済の成長率に長期的に及ぼす影響はわずかである。

そもそも、日本の労働市場の問題が大きいようにみえるのは、解雇ルールが曖昧であることよりも、長期デフレの中で賃金の価格シグナル機能が働かなかったことが大きく影響していた。2024年にようやく賃上げが起こりつつあり、労働市場の流動化を通じた生産性向上を実現しつつあるのだから、金融財政政策を徹底して経済成長率を高めることがまず前提になる。小泉氏らがこの点を、十分理解しているかは定かではない。

石破茂元幹事長については、安倍政権時代からアベノミクスの成果を一貫して否定していた。今回示された政策集では、「経済あっての財政との考え方に立ち、デフレ脱却最優先の政策運営を行う」と書かれている。推薦人を集めるにあたり、金融財政政策の考え方を改める政治的な妥協が行われたのだろう。

ただ、つい最近も金融所得課税を引き上げる考えを示しており、地方政府への補助金支出にも積極的とみられ、再分配政策が強化されるだろう。結局、石破氏の根本の考え方は変わっていないとみられ、マクロ安定化政策が徹底されずに再分配政策だけが強まることになれば、日本経済は再びデフレと低成長に戻るリスクに直面する。

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