富士ソフト「物言う株主」に翻弄された数奇な運命 ファンドの争奪戦で創業家と会社が対立構図に
3Dは同年7月、富士ソフトの同意を得ないまま、非公開化に向けた企業価値向上策をファンドに募り、KKRなどから提案を受領。9月に富士ソフト側に共有した。
富士ソフトは独立社外取締役6人から構成される特別委員会を設置して、非公開化の是非について議論を行うことを決めた。直前の8月末には、買収提案を受けた企業に「真摯な提案には真摯な検討」を求める経済産業省の行動指針が公表されたばかりだった。
「株主構成を整備することが最重要」
その後も議論の進捗に3Dから揺さぶりをかけられた富士ソフトは、ついに今年8月、KKRのTOBに賛同する意向を表明するに至る。
会社側は非公開化の道を選んだ理由について、「経営推進上の課題である株主構成を整備することが最重要で、その手段としてPEファンドの提案を受け入れることが最善との結論に至った」と説明。特別委も「(2028年12月期に売上高4350億円、営業利益450億円を目指す)中期経営計画の目標実現には、中長期的視点に立った安定した経営基盤が必要」などとの見解を示した。
端的にいえば、非公開化の主目的はアクティビストを追い出すことにあり、「意見のぶつけ合いをしている時間や資金があるならば、成長投資に回すべき」(富士ソフト関係者)といった見方が強まった結果といえるだろう。裏を返せば、3Dの巧みな戦略に翻弄された結果、富士ソフトは戦うことをやめたようにも映る。
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