昨年、買収提案を謝絶されたニデック。今年は提案を通した秘訣に迫った。
『週刊東洋経済』11月11日号では「アクティビスト全解明」を特集。アクティビスト本人への直撃を通じて、高配当・自己株買い一本やりから対話重視へと変貌を遂げるアクティビストの今をお届けする。
10月27日、ニデックは9月14日から実施していた中堅工作機械メーカー、TAKISAWAに対するTOB(株式公開買い付け)への応募状況を公表した。同日までに下限目標の319万株(議決権総数の50.1%)を大きく上回る521万株(同81.9%)に達し、TOBの成立が確実になったとしたうえで、11月13日までの期間延長を行った。
TOBの途中経過を公表するのは異例だ。成立が確実なことをアピールし、まだ応募していない株主に応募を促し、応募率の引き上げを狙う戦略なのだろう。
ニデックがTAKISAWA買収の意向を表明したのは今年7月。TAKISAWA側の同意を取り付けずに買収を宣言したため、ニデック初の敵対的TOBになる可能性があった。だが2カ月後にTAKISAWAが賛同意見を表明したため、敵対的買収にはならなかった。
行儀が悪い行為
日本では長らく、合法でありながら敵対的買収は“行儀が悪い行為”と見なされてきた。それでもニデックが事前同意なき買収宣言に踏み切ったのは、経済産業省が「企業買収における行動指針」(新指針)を策定することが見えていたからに違いない。
すでに6月には新指針案の公表とともにパブリックコメントの募集が始まっていた。新指針で敵対的買収をタブー視する慣習が否定されることは明らかだった。
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