経産省の新指針策定で、株主保護の充実が改めて問われている。
『週刊東洋経済』11月11日号では「アクティビスト全解明」を特集。アクティビスト本人への直撃を通じて、高配当・自己株買い一本やりから対話重視へと変貌を遂げるアクティビストの今をお届けする。
今年3月、東京地裁が極めて画期的な判断を示した。
対象となった事案は2020年に伊藤忠商事がファミリーマートを完全子会社化した際のTOB(株式公開買い付け)。少数株主からの強制買い取り価格が安すぎるとして、ファミマの旧株主である米国系ファンド・RMBキャピタルなどが価格見直しを東京地裁に請求。
東京地裁は実際の価格よりも300円高い金額を妥当とした。最高裁は2016年に「手続きが公正ならば、買い取り価格がTOB価格と同額である限り裁判所は価格の判断をしない」との判断を出している。つまり価格の妥当性に司法は踏み込まない、という判断だ。
手続きが不公正であるか
以来、手続きが不公正であることの立証が価格見直しの必須条件となるが、手続きが不公正であることの立証はほぼ不可能。事実上価格見直しの道は閉ざされていた。RMBなどはM&A(合併・買収)の具体的な条件などを検討するファミマの特別委員会の議事録開示を請求。裁判所もRMBなどの主張に理解を示し、開示を指示。ファミマも開示に応じた。
はたして提出された議事録には、公開買付届出書には書かれていなかった、詳細な交渉経緯が記されていた。東京地裁はある時点を境に特別委が機能しなくなったと認定、価格の変更を命じた。
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