〈新ルール〉東証が「企業行動規範」見直し検討、「やりたい放題の買収」を是正する4大ポイント
MBOや親会社などによる完全子会社化でないがしろにされている少数株主や一般株主。東証が企業に歯止めをかける。

東京証券取引所が「上場会社の買収ルール」の改革に乗り出した。
東証上場の企業が順守義務を負う「有価証券上場規程」の中の「企業行動規範」を見直す。同規範は上場会社として最低限守るべき事項や上場会社に要請する事項を定めており、今回見直すのは、このうち買収によって上場廃止になる会社に関する箇所である。
東証の有識者会議で2月18日に見直し案が示された。ポイントは次の4点となる。
1点目は対象の拡大だ。現行の規範は、ほぼその対象を「支配株主(議決権のある株式の過半数を保有する株主)による完全子会社化」としている。足元で増えているMBO(経営陣が参加する買収)についてはごく一部にとどまる。
これをMBO、さらには持分法適用会社の完全子会社化にも拡大する。つまり原則20%以上を保有する株主による完全子会社化の動きに網をかける。
「不利益ではない」を「公正であること」へ
2点目は「意見」の内容についてだ。完全子会社化される際に「一般株主にとって公正であることに関する意見」の入手を義務づける。これまでは「少数株主にとって不利益でないとする意見」を取得するように求めていた。
持分法適用会社の完全子会社化などにも対象を拡大することで、買収者が支配株主ではない場合も含まれる。支配株主がいない会社の場合、買収者やその利害関係者以外の株主は「少数株主」(支配株主以外の株主)ではなく「一般株主」になる。
「不利益ではない」から「公正であること」と踏み込んだ表現にするのも大きな変更点だ。
3点目は上記の意見を「特別委員会」から入手するように義務づけることだ。MBOや支配株主による買収、さらには同業他社などによる上場廃止を伴う買収でTOB(株式公開買い付け)が行われる際、特別委員会が設置されないケースは今やかなり例外的だ。
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