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壮絶な“同意なき買収バトル”、有効な撃退法はあるのか。ホワイトナイトやMBOにも限界

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ニデックと牧野フライス製作所の看板
同意なき買収を仕掛けたニデックは、東京地方裁判所の決定後、TOBを撤回した(撮影:尾形文繁)

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市場改革の推進や株主の攻勢によって、日本の上場企業は大淘汰の波にのみ込まれている。本特集「上場企業クライシス」では、激変期に突入した資本市場の今をリポートする。

あまりにも呆気ない幕切れだった。昨年末、モーター世界大手のニデックが、工作機械メーカーの牧野フライス製作所に仕掛けた同意なき買収案件が、4カ月余りのバトルを経て今年5月、突然終わりを迎えたのだ。

仕事納めの日に“奇襲”

事の発端は昨年12月27日、仕事納めの日だった。ニデックが事前の接触や打診などないまま牧野フライスにTOBの実施を表明するという“奇襲”に出た。

寝耳に水の牧野フライスは猛反発。「競合提案との比較、検討の時間が必要」として再三にわたって実施時期の延期を求めたが、ニデックは聞く耳を持たず、今年4月4日からTOBを強行したのだ。

これに対し牧野フライスの取締役会は4月10日、新株予約権をニデック以外の既存株主に無償で割り当てる対抗策を決議。TOB成立後にニデックの持ち株比率を低下させることで、ほかの買収提案を検討する時間を確保することを目的とした。

こうした対抗策に対してニデックは、「株主平等の原則に反しており、経済的な不利益を被るおそれがある」などとして、4月16日に東京地方裁判所に差し止めの仮処分を申請したため法廷闘争に発展する。しかし5月7日、東京地裁はこの申請を却下、翌8日にニデックがTOBの撤回を発表したため、一連の同意なき買収案件は幕を閉じたのだ。

ニデックには、即時抗告して東京高等裁判所で争うという選択肢があった。しかしそうしなかったのは、「高裁は(商事事件専門で仮処分を判断した)東京地裁民事第8部の判断を重んじる傾向があり、これ以上は難しいと判断したのではないか」とM&Aに詳しい関係者は解説する。

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