企業買収指針を検討した2人の識者に新指針のツボを聞いた。
『週刊東洋経済』11月11日号では「アクティビスト全解明」を特集。アクティビスト本人への直撃を通じて、高配当・自己株買い一本やりから対話重視へと変貌を遂げるアクティビストの今をお届けする。
「難しいのは真摯な対応」
太田 洋/弁護士
法制度上、日本は米欧より敵対的買収をやりやすい。それなのに今まで買収が少なかったのは、心理的バリアーがあったからだろう。アクティビストはその点を気にしなかったが、事業会社は躊躇してきた。「敵対的買収も辞さない会社」と言われることへの強いためらいがあったように見える。
今回、「企業買収における行動指針」(新指針)が公表されたことで事業会社の心理的なハードルは下がる。これからは「真摯な提案なら同意なき買収をしてもいいんだ」となるだろう。
今後、買収提案は従来に比べて大きく増えるのではないか。つれて業界再編が進むことも期待される。
会社側として難しいのは、どのように「真摯な対応」をするかだ。提案書が出てきたら、真摯な提案かどうかについて独立社外取締役を中心に検討しないといけない。提案に「現実感」があるのかどうかが検討のポイントだ。
検討の際には、提案者の資金力とトラックレコード(買収実績)の2つを見る。資金力のない人が「ソニーグループを買収したい」と言っても、「何を言っているの?」となる。過去の買収実績も大事だ。
資金力や買収実績のある会社からの具体的な提案は現実感があり、真摯な提案と見なさざるをえない。
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