AIにはできない「個性」を生かす仕事に見る希望 「格差が助長される」と嘆く人に伝えたいこと

✎ 1 ✎ 2 ✎ 3
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

たとえばコンビニやスーパーで買い物をするといった、日常の、差別化しにくい事業領域では徹底的な省力化が行われることとなり、ほんの一部で「ちょっと高くても、あの人がいるお店で、あの人から買いたい」といったニーズが出てくることになるでしょう。

肉や野菜などの食料品は、さらなるテクノロジーの進展で生産が容易になると思われ、より低廉な価格で流通しそうです。しかし、ここでも「あの人が作った野菜が食べたい」といった特定の生産者へのニーズが今より強烈に生まれ、やはり高額取引となるはずです。

あらゆる医療もコンサル業も、エステなども、同文脈に置かれることとなるはずです。

ビジネスの世界では、個人も企業も「個性」「特性」を売る時代になっています。大企業でもない限りマスを相手にする必要はなく、相思相愛の顧客と深くつながればよいでしょう。そのツールとして各種SNSがあります。

XでもYouTubeでもnoteでも何でもいいので、媒体特徴を理解して、相思相愛になれる顧客に向け、ガンガン発信しましょう。

3つに分かれる所得形態

さてここまで見てくると、金融新システム後の所得形態は大きく次の3つに分けられそうです。

「ベーシックインカムで、食うには困らない生活ができる人」
「ニーズをつかみ、高額な報酬を得る人」
「株の配当や不動産収入など、資産から収入を得る人」

このような話は何やら「格差社会が助長される」といったニュアンスをもって受け取られがちですが、必ずしもそのような風潮にはならないと考えます。

そもそも人はそれぞれ「幸せに生きたい」と思っているだけで、その幸せの価値観は、文字通り千差万別です。

「ぜいたくには全く興味がなく、そこそこの生活ができれば十分。それより、やりたくもない労働から解放され、1日中自分が好きなことができるのが幸せ」という人もいるでしょうし、「報酬が発生しなくても自分ができる範囲で人や世の中の役に立てるのが幸せ」という人もいるでしょう。

グレートリセット後の世界をどう生きるか: 激変する金融、不動産市場
『グレートリセット後の世界をどう生きるか: 激変する金融、不動産市場』(小学館新書)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

「テクノロジーを最大限活用しながらも、AIやロボットには決して代替できない、人間ならでは、自分ならではの財やサービスを提供して稼ぎたい」「十分な資産を持ってゆったり暮らしたい」という人もいるはずです。

これまでの文脈で想起される「格差社会」ということではなく「各自が望む生き方が可能となる選択肢ができる」といったイメージです。

これまでは「生きていくためにはお金が必要で、そのために、場合によってはやりたくもない仕事をせざるを得なかった」という人の方が多かったのではないでしょうか。

そうした"くびき"から解き放たれ、より生きやすい時代が到来するというわけです。

1回目:「新築住宅購入」注意したい"ゆでガエルのワナ"
2回目:これからの不動産の価値を決める"納得"の物差し
長嶋 修 不動産コンサルタント(さくら事務所 会長)

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

ながしま おさむ / Osamu Nagashima

1999年、業界初の個人向け不動産コンサルティング会社『株式会社さくら事務所』を設立、現会長。以降、さまざまな活動を通して“第三者性を堅持した個人向け不動産コンサルタント”第一人者としての地位を築いた。国土交通省・経済産業省などの委員も歴任している。主な著書に、『マイホームはこうして選びなさい』(ダイヤモンド社)、『「マイホームの常識」にだまされるな!知らないと損する新常識80』(朝日新聞出版)、『これから3年不動産とどう付き合うか』(日本経済新聞出版社)、『「空き家」が蝕む日本』(ポプラ社)など。さくら事務所公式HPはこちら
 

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事