「中秋の名月」今年は"土星"も見える!?鑑賞のコツ 江戸時代からの風習で「極上のお月見体験」

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「月の出」は毎日遅れる(月待ちを楽しめる)

日によって変わるのは、月の満ち欠けだけではありません。じつは月が昇る時刻も変わります。「日の出」の月バージョンで、地平線から月が昇ることを「月の出」といいます。

日々変化する月の出を愛でる「月待ち」

前ページの図で、満月の「月の出」を見た次の日のことを考えてみましょう。

満月から24時間経つと、月は公転によってちょっとだけ反時計回りに動きます。見た目は満月から少しだけ欠けて「十六夜(いざよい)」になっています。このとき、十六夜はまだ地平線の下にいて、十六夜が地平線から昇るには、地球は50分ほど自転する必要があります。

満月の日に限らず、毎日同じことが起きます。つまり、「月の出」は毎日少しずつ遅れるということです。

「月待ち」のイラスト
日々変化する月を愛でる「月待ち」 ※日時は満月の出を15日18時としたときの目安(イラスト:村上テツヤ)

江戸時代には、日々変化する月の出を愛でる「月待ち」という風習がありました。

十六夜の「いざよう」とは「躊躇する」という意味です。名付けた人は、満月から少し欠けた月が約50分遅く昇る様子を見て、月が不完全な姿を見せるのをためらっていると思ったのでしょうね。

その翌日の月を「立待月(たちまちづき)」といいます。十六夜から約50分遅れて昇るのを立ちながら待つことから来ています。

その翌日の月は「居待月(いまちづき)」。さらに約50分遅れてくるから、もう立っていられず、居座って待つということです。

となると、その翌日の月は何と呼ばれると思いますか?

立って、座って……その次は……寝ながら待つ「寝待月(ねまちづき)」です!

月の名前から、昔の人々が月を楽しむ姿が想像できますよね。このように、身の回りに起きるちょっとした変化に気づいて、それを楽しむのは素敵なことだと思いませんか。

月の出には日の出とは違った趣があるので、ぜひ一度「月待ち」を試してみることをオススメします。

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