これからの不動産の価値を決める"納得"の物差し 単純な損得勘定では測れない新しい指標に注目

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その自治体がどんな経営をしているか、どんな特色があるか、どんなお店があるか、どんな人が暮らしているかといったことは、住まいを選択する際に念頭になかったというか、考慮する余裕もなかったでしょう。

首都圏で言えば東京都心部から30〜40キロ圏内。通勤時間がドアツードアで1〜1.5時間、もっと具体的に言えば国道16号線内外のたとえば、相模原・町田・大宮・柏・船橋といった、かつて「郊外ベッドタウン」と呼ばれたところです。

これらのエリアでは団塊世代を中心とする人口ボリューム層が、高度経済成長下で、地価上昇が永遠に続くとする「土地神話」のもと、「早くしないと買えなくなる」といった焦燥感にかられながら、こぞって住宅を求めました。

個性があり、暮らしていて楽しい街かどうか

多くの都市郊外はどこも似たような街並みで、駅前のロータリー周辺にはコンビニや牛丼屋にファストフード店、消費者金融など、どこも同じ顔ぶれの、特色のない景色が広がっています。

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そんな中においても、地元ならではの人気レストランや居酒屋などが点在するものですが、こうした「その地域ならでは」の店舗が今後も増える街は有望です。他と同じではなく、個性があるからです。

その街を愛するためには、どこにでもあるものではなく、個性があることが重要です。同様に、街並みや景観に対する意識が高い市民が多いとか、コミュニティ活動が活発であるとか、要素は何でもいいのですが、要は「個性があり、暮らしていて楽しい街かどうか」が重要であり、そうしたところに「愛着」は根付くものでしょう。

現時点ではそうした動きは散発的であり目立ちませんが、これから時間の経過とともに、街ごとの個性の違いが出てくるはずです。「無個性」というのもひとつの個性ですが、それがあまりにも多すぎれば問題ですね。

「愛される街かどうか」「その地域が好きで住んでいる人はどのくらいいるか」といった、一見損得とは対極にあると思えることが、暮らしの快適性や楽しさはもちろん、ひいては資産性に結びついてくるようになるでしょう。

長嶋 修 不動産コンサルタント(さくら事務所 会長)

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ながしま おさむ / Osamu Nagashima

1999年、業界初の個人向け不動産コンサルティング会社『株式会社さくら事務所』を設立、現会長。以降、さまざまな活動を通して“第三者性を堅持した個人向け不動産コンサルタント”第一人者としての地位を築いた。国土交通省・経済産業省などの委員も歴任している。主な著書に、『マイホームはこうして選びなさい』(ダイヤモンド社)、『「マイホームの常識」にだまされるな!知らないと損する新常識80』(朝日新聞出版)、『これから3年不動産とどう付き合うか』(日本経済新聞出版社)、『「空き家」が蝕む日本』(ポプラ社)など。さくら事務所公式HPはこちら
 

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