多発する「男性差別の炎上」で露呈した怒りの正体 牛角、しまむら、フリーアナ…なぜ炎上が続いたのか
実際、ある芸能事務所は女性タレントたちに「男性差別につながる発言には気をつけるように」という注意と、動画などにおける「過去の発言などをチェックするように」という指示を出したそうです。
「男性をひとくくり」にする怒りも
少し見方を変えると、たまりにたまっていた不満の一因は、「男性差別を気にしなければいけない自分の現実」によるところにもあるように見えます。
実際、男性の中でも地位や収入の高い“強者”は、今回の件を「男性差別だ」と怒らず、すべて「別に構わない」「言わせておけばいい」という程度にしか感じていないのではないでしょうか。
たとえば経営者や政治家が「子どもの世話をしない」「おじさんばかり」と言われたり、体臭への注意を呼びかけられたり、女性だけが半額であったりすることを「男性差別だ」と、本気で怒るようには思えないのです。
「男性差別だ」と怒るのはそれ以外の人であり、中でも地位や収入などの点で“弱者”を自認する人ほど声をあげているのかもしれません。その意味で「男性差別だ」という話題の連鎖は、怒りというより「男性をひとくくりにしないでほしい」「強者ではない自分の立場も考えてくれ」という心の叫びにも見えます。
そしてもう1つ、「男性差別」が連鎖する理由として見逃せないのは、「ある人びとによって恣意的に作られたものではないか」ということ。前述したようにトラウデンさんと牛角の件は「男性差別だ」という批判より擁護のほうが多く、「怒っている人は一部に過ぎない」という印象がありました。
特に牛角のキャンペーンは7日開催の「TOKYO GIRLS COLLECTION」に出展することを記念したものであり、半額にした根拠も「女性の食べ放題での注文量が、男性に比べて肉4皿分少ないというデータ」によるものだけに、これを「男性差別」につなげることの強引さを感じさせられます。
それ以前に、さまざまな店の価格設定で割引以前に男女の差があるものも多いのですから、その時点で「男女差別だ」というのが自然でしょう。
また、女性の来店促進は当然の企業戦略であり、これが批判されるようであれば、カップル割引、グループ割引、学生割引なども、「恋人がいない」「友達や家族がいない」「学校に行けない」という人への差別となり、成立しなくなってしまいます。
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