多発する「男性差別の炎上」で露呈した怒りの正体 牛角、しまむら、フリーアナ…なぜ炎上が続いたのか
まずそれぞれの話題を振り返ると、しまむら、フリーアナ、タレント、牛角と、発信者は企業2、個人2の同数であり、どちらも同様にリスクがあるということでしょう。ただ、「最も立場が弱い」とみられる個人のフリーアナが特に叩かれているところに怖さを感じさせられます。
もちろん内容の差はあるでしょうが、怖いのは「これくらいの人ならこれだけ叩いてもいいだろう」「彼女をフォローする人が少ないから叩かれっぱなし」というニュアンスが感じられること。
逆にファンの多い企業は怒りの熱量が少なく、フォローが多いようにも見えます。これは「性差別は有名人でなくても叩かれ、しかも過剰に叩かれるリスクがある」ということなのかもしれません。
たまりにたまっていた不満が爆発
また、4つの内容は、服、臭い、加齢、食とバラバラですが、共通しているのは、ステレオタイプな表現に対する反発。
「パパはこういう感じ」「男性は体臭がありケアが甘い」「政治家は高齢のおじさんばかり」「男性は女性よりたくさん食べる」などのイメージに「決めつけるな」「偏見だ」と反発している様子がうかがえます。
しかし、むしろイメージに助けられるケースもあるなど、ステレオタイプな表現がすべて悪いというわけではないでしょう。問題は男女の違いをベースにステレオタイプな表現をしてしまうこと。
さらに「女性のために」という意味合いを強調するほど、男性をおとしめるなどの悪気はなくても「差別」という印象につながってしまいます。
たとえば、しまむらは「子ども服を買う本人であろうママのガス抜き」、フリーアナウンサーは「男性の体臭に悩まされる女性のために」、トラウデンさんは「女性の政治進出が進んでほしい」、牛角は「女性にも気軽に食べ放題を楽しんでもらいたい」などの思いが感じられます。
出発点となるこれらの思いそのものは良いことであるにもかかわらず、伝え方を間違えただけでこれほど叩かれてしまう。さらに、釈明しようとしても受け入れてもらえず、嵐が過ぎ去るのを待つしかないところに怖さがあります。
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