人口8000万人時代の日本が直面する「危険な状態」 北海道には既に「空白地帯」が発生している
ローカルの力とマイルドヤンキー──佐藤
人口減少に関連して、私は「マイルドヤンキー」と呼ばれる若年層に注目しています。マーケティングアナリストの原田曜平さんが名づけ親ですが、北関東の中核都市周辺に住み、高校を卒業後すぐに結婚して子どもを3~4人つくる。「イオンモールがあれば幸せ」と言って東京に出てくることもなく、バンで移動するような人たちです。
新自由主義的な競争原理が進行すれば、「勝ち組」と「負け組」の選別が明瞭化され、「負け組」に入れられた若者は生き残れません。所得水準から子どもをつくることもできない。そう考えると、子だくさんの「マイルドヤンキー」が人口減少に歯止めをかけているのかもしれません。
彼らは欲望の消費性向こそ強いですが、高望みはしません。従来の不良ほど攻撃性がなく、地元で仲間との絆を大切にします。
また先輩・後輩の繫がりから、人手不足も起きません。先輩たちが仕事の場を提供するからです。彼らは自動車整備工場やラブホテルを経営したり、介護事業にも乗り出したりするなど、多角経営で独自の生態系を形成しています。
そんな地方経営者を、投資家の藤野英人さんは「ヤンキーの虎」と説明します。「マイルドヤンキー」と「ヤンキーの虎」によるネットワークが、100%の就業率と人手不足解消を実現しているのです。
「マイルドヤンキー」たちは、モノを仕入れるのも市場原理とは異なり、仲間内ですませる傾向にあります。さらに、彼らは市議会議員など地域の政治エリートと一体化しています。
私は、こうした地方都市でたくましく生き残る人たちを見て、グローバリゼーションに抵抗しているのだなと思いました。ローカルの力は侮れません。そして、それがまた自民党の支持基盤になっているのです。
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