人口8000万人時代の日本が直面する「危険な状態」 北海道には既に「空白地帯」が発生している 

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日本の安全保障を考えた場合、人口が減って地域社会を維持できなくなるのは恐ろしいことだと思います。政府は効率性だけを重視し、政策立案に携わる側も都会の人ばかりになってきました。すると、地域の集落に人が住み、農林水産業を営むという昔からの国の形を、自分事として理解・共感できなくなります。

北海道には既に『空白地帯』発生の危機

すでに、人々が地域社会の生業を放棄する兆候が現れています。私は1984年から北海道大学で教鞭を執り、長く札幌に暮らしました。北海道では加速度的に人口が減り続け、集落が消えています。国立社会保障・人口問題研究所によれば、2050年に382万人まで減ることが推計されています。2020年が522万人でしたから、30年間で27%の人口減少です。

集落がなくなれば、行政も撤退します。たとえばオホーツク海の沿岸や、稚内から留萌にかけての日本海沿岸では人がいなくなったため、空白地帯が生まれようとしています。これは国土防衛の観点からも、非常に危険な状態です。

さらに言うなら、「安全保障」という言葉の意味を、もうすこし広くとらえるべきだと思います。いわゆる「限界集落」をすべて維持するのは無理だとしても、公的なリソースを地域に投下しながら、人口2000人くらいを単位に集落を守っていく。

佐藤さんが言われた「沖縄県枠での自衛官採用」のように、公務員として地域の人間を残さないといけません。それが広義での「安全保障」の知恵です。20年後には、その知恵を具体的に生かす必要が出てくると思います。

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