いわき「夜明け市場」が挑んでいることとは? 地元復興支援が「自分の夢」の復興に繋がった

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2階のコーワーキングスペースには、高校生たちも集まり、皆で学び合っている。

松本さんが語っていた、「人が集まれば力になる」、そんな力がこの「夜明け市場」で少しずつ形になっていきました。

そしてオープンから4年近くたち、「夜明け市場」はさらなる進化を遂げています。飲食店は有名シェフの松嶋啓介さんがプロデュースするお店が入るなど13店舗埋まっているだけでなく、地域の若者などが集まって学び合うことができる場所として2階にコーワーキングスペースを開設。地域の人たちが集まることができるコミュニティとしての進化が続いています。

環境変化が夢にスイッチを入れる

2011年3月に起こった東日本大震災は、多くの人たちの人生を変えました。震災は多くの悲しみを生み出した一方で、多くの人に自分の人生をどう全うすべきか考えるきっかけになりました。

「震災というきっかけは確かに大きかったです。でもこうしてみると、やっぱり高校時代に言っていた『さびれた地元をどうにかするんだ』という思いがベースにありますね。たまに辛いこともありますが、思いを形いすることをやらせてもらってる、それを地元に認めてもらっていると思っています」

【お知らせ】マザーハウスでは、本連載のテーマ「挑戦者たちの朝」に合わせてマザーハウスカレッジを行っています。次回開催は10月を予定しております。詳しくはこちらをご参照ください

挑戦にはさまざまな始まりがありますが、このように外部環境の大きな変化が挑戦へのスイッチになる場合があります。松本さんの場合にも、高校時代の夢があったからこそ、震災という大きな変化がその夢を呼び戻すきっかけになったのです。そして、同じように震災がきっかけとなって挑戦をはじめた挑戦者たちと共に、松本さんは新しい試みを始めています。

「夜明け市場だけでなく、震災をきっかけに新しいものが生まれてきています。たとえば、福島の農家。風評被害を避けるために若手農家を中心に、農協に卸していたところから、直接消費者の方々にコミュニケーションをとって売る人たちが出てきています。夜明け市場もそうですが、いわき発のモデルを一緒に発信していきたいですね」

松本さんは、いわき六次化協議会のメンバーなど、活動を広げています。震災がきっかけで始まった夢の実現は始まったばかりです。

山崎 大祐 マザーハウス 副社長

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やまざき だいすけ / Daisuke Yamazaki

1980年東京生まれ。高校時代は物理学者を目指していたが、幼少期の記者への夢を捨てられず、1999年、慶応義塾大学総合政策学部に進学。大学在学中にベトナムでストリートチルドレンのドキュメンタリーを撮影したことをきっかけに、途上国の貧困・開発問題に興味を持ち始める。2003年、大学卒業後、 ゴールドマン・サックス証券に入社。エコノミストとして、日本及びアジア経済の分析・調査・研究や各投資家への金融商品の提案を行う。2007年3月、同社を退社。株式会社マザーハウスの経営への参画を決意し、同年7月に副社長に就任。副社長として、マーケティング・生産の両サイドを管理。1年の半分は途上国を中心に海外を飛び回っている。

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