「旧ジャニーズ」"地獄のような1年"を経た現在地 会見からこれまでの「3つのターニングポイント」
旧ジャニーズ事務所が保有する著作権や原盤権などの知的財産の管理や、関連会社の資本構成(依然として、藤島ジュリー景子氏が株主に留まっている可能性がある)についても同様の問題が残されている。
一方で、STARTO社とSMILE-UP.社は別の会社であることも理解しておく必要がある。
STARTO社がタレントの権利侵害に関する通報窓口を設置したことに対して、「所属タレントばかり守って、被害者は守らないのか?」という批判が出ていたが、被害者を保護する役目を担うのは、STARTO社ではなくSMILE-UP.社の役割だ。
タレントの起用に関しても、「被害者の補償がまだ完了していないのに」という意見も依然として出ているが、タレントの活動と被害者の補償を切り分けるために、会社を分けている。
過去は同じ会社であったため「完全に無関係」と言い切ることが難しいのも事実だが、タレント起用の判断は、STARTO社の企業行動が適正か、同社の経営が旧ジャニーズ事務所と分離できているかという視点から判断すべきだ。
ジャニーズ問題が開いた“開かずの扉”
故ジャニー喜多川氏の性加害問題により、一芸能事務所の問題に留まらない、より大きな社会問題が明るみになった。最後に、ジャニーズ問題によって開かれた諸問題について言及しておきたい。
1に関しては、その後、宝塚歌劇団のパワハラ問題、お笑いタレントの松本人志氏の性加害疑惑など、芸能界の諸問題が明らかになっている。
芸能界の諸問題は、これまで「芸能スキャンダル」として、社会問題とは別に扱われることが多かった。しかし、エンターテインメント業界の健全化を図るためには、他の業界・企業と同様の社会問題として扱う必要がある。
2に関して、故ジャニー喜多川氏の性加害がなかなか社会問題化しなかったのは、「男性から男性への性加害」について世の中の理解が薄かったことがある。
さらに、ジャニー喜多川氏が行った行為の多くはすでに時効を迎えており、法的に追及できないということも明らかになった。同時に、性加害の賠償金が、先進諸国と比べて非常に安いという事実も広く知られることになった。
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