「パソコンは苦手」言い続ける人に欠けているモノ 「IT革命」からすでに四半世紀も経っている
自己と社会は常につながっており、自分が運転をし続けることが世の中にどう関わっているのか、あるいは関わっていく可能性があるのか、それを考えることができるのが社会性というものです。
空海は「自利利他」という言葉で自分と他人のつながりの大切さを説いています。フランスの哲学者オーギュスト・コントは、「愛他主義」の言葉を用いて他者の立場に立つ生き方の大切さを提唱しました。
もちろん、その男性が免許返納を拒否している理由は、実際には「ネットがわからない」とうことだけではないでしょうし、より複雑な心理状態などが絡んでいるとは思います。なにより「自分はまだ運転能力も認知能力も衰えていない」従って「事故なんて起こすはずがない」と頑なに信じているのでしょう。
高齢者の免許返納問題は難しい社会課題ですので、軽々には答えを出せませんが、あくまでICTリテラシーの重要性を考えるうえで、このできごとは1つの象徴的なエピソードであると感じました。
ちなみに、高齢者のデジタル活用に対する支援策としては、総務省がスマホを使った行政手続きなどに関する相談の受け付けを2021年から講習会形式で行っていますし、シニア向けのプログラミング講座なども支援しているようです。ICTに触れる「機会」は様々な形で社会に用意されていますから、周囲にご高齢の方がいれば紹介してあげてみてください。
日本の「DX遅れ」は本当に40代が原因か
高齢者のICTリテラシーについて触れてきたわけですが、では働き盛りの40代はどうでしょうか。
実はいま手元に、2022年1月18日に配信された日本経済新聞の「DX遅れは中堅社員のせい? 40代『関わりたくない』4割」と題する記事があります。DX(デジタル・トランスフォーメーション)とは、デジタル技術を浸透させることで人々の生活をより良いものへと変革することです。これが進んでいる国とそうでない国では、自ずと技術革新や人々の生活の豊かさにおいて差が開いていくということになります。
問題は、先進国であるはずの日本の大手企業のDXが海外と比べて大きく遅れており、そのボトルネックとなっているのが、実は40代の中堅社員である可能性が高いということなのです。
記事によると、社員1000人以上の企業に勤める40代の社員の38%が「DXやデジタルビジネスに関わりたくない」と答えています。刮目すべきは、この割合が20代~30代はおろか、50代~60代をも上回り、全世代でもっとも多かったというところです。
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