若者の「メンタル崩壊要因」SNSより深刻なもの 世界共通で見られる「有害なメガトレンド」

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アメリカ心理学会が2023年に実施した調査では、ジョンソンのような若年成人のストレスレベルは上の世代に比べて高いことが報告されている。同調査によると、18才から34才までの人々は、それ以上の世代の人々よりも経済的な不安に「悩まされている」と回答する傾向も強い。

気候への不安もまた、患者の訴えでありふれたものになりつつある。気候不安に関するオンライン検索は急激に増えており、専門家らはピアサポートグループや、気候問題に精通したセラピストによるオンラインディレクトリ、気候心理学の認定プログラムなどを立ち上げている。

プライバシーを守るためにミドルネームだけを明かした38才のマイケルは、30代前半の頃に環境問題に対する不安障害が始まり、それ以降、治療のためにセラピーに通っているという。

「自分たちを取り巻く世界に対する配慮がまったくないように思える」と、ボルティモアに住むマイケルは語る。大量のトラックが各家庭に荷物を運んでいたり、水路にゴミが落ちていたりする様子など、ちょっとしたことを目にするだけで、怒りと将来への不安を感じるという。こうした「めちゃくちゃな暴挙」と「向き合うのはとても難しい」とマイケルは付け加えた。

根本原因に目を向けるパラダイムシフト

ランセットの委員会がメンタルヘルス問題の一因となっている社会的変化を重視する決定を下したことは、この分野におけるパラダイムシフトを告げるものだ、とアメリカ精神医学会で児童青少年家庭評議会の議長を務めるリサ・フォルトゥナは言う。

患者個々人のメンタルヘルス上のニーズにしっかりと対処していくことが大切である一方で、精神科医をはじめとするメンタルヘルス従事者は、一歩下がった視点から、人種差別や所得格差、メンタルヘルスサービスを利用する際の障壁など、患者に影響を及ぼすより広範な問題に取り組むことの重要性に一段と目を向けるようになってきている、とフォルトゥナは付け加えた。ちなみに、彼女はランセットの委員会メンバーではない。

報告の筆頭著者マクゴリーは、データは「社会が一段と病んできている」ことを明確に示していると言う。「もはや、何も知らないなどと言い逃れを続けることは誰にもできない」

(執筆:Christina Caron記者)

(C)2024 The New York Times

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