若者の「メンタル崩壊要因」SNSより深刻なもの 世界共通で見られる「有害なメガトレンド」
クロエ・ジョンソン(22)は、このところ絶望的な気分に陥っている。
フルタイムの受付スタッフとして時給18ドルで働きながら地元ダラスのコミュニティ・カレッジに通っているが、授業についていくのに四苦八苦。車は故障し、何とか貯めてきた500ドルは中古車購入の頭金に充てることになりそうだ。
少し前には、昇進を見送られた。
「このような状況にいることに、今はとにかく息が詰まりそうな感じがしている。何の成果も進歩も感じられないのだから」。昨年、双極Ⅱ型障害、うつ病、ADHDと診断されたジョンソンはそう語った。
経済問題がメンタルを直撃するというループ
ジョンソンは今、経済的な問題のせいでメンタルヘルスが悪化し、その結果、経済的な問題がさらに深刻化するという、果てしない負のループに陥っている。精神障害の治療にかかる費用が一因で経済的な問題が悪化するのと同時に、より高収入の職につながる見込みのある学位の取得も一段と難しくなっているからだ。
「いくつもの授業で落第になった。本当に簡単に燃え尽きて、ギブアップしてしまうので」とジョンソン。
低下傾向にある若者のメンタルヘルスだが、医学誌『ランセット・サイカイアトリー』に8月13日に掲載された最新の報告によると、その一因は経済格差をはじめとする「有害なメガトレンド」にあるという。
若年層に影響を及ぼしている世界的なトレンドには、まともな賃金が支払われない「賃金泥棒」や、規制が野放しになっているソーシャルメディア、不安定な雇用、気候変動なども含まれ、これらのすべてが「多くの国々の若者にとって暗い現在と未来」を生み出す原因になっている、と著者らは指摘している。