「原価1000円超」独自進化した"天然"かき氷の凄み 天然氷は日光から仕入れ、1杯手回し132回のこだわり

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仕込み部屋にはフルーツの箱が並ぶ。この日は「つがりあんメロン」(津軽で生まれ育ったメロンの総称)や「キーツマンゴー」(沖縄宮古島産)などが次々に剥かれていた。

「栃木県日光の天然氷と並ぶ主役たちです。夏のメロンは産地を厳選して自家追熟したものを使い、宮古島では農園の一角に自分たちが植えたマンゴーの木もあります」(森西店主)

店主は元歌舞伎役者の異色の経歴

同店は東京における天然氷のかき氷店の先駆けだ。13年前の開業時、同種の店は地方にはあったが、都内にはなかったという。

森西店主の経歴も異色だ。20代の頃は三代目市川猿之助(当時)に弟子入りして約8年間歌舞伎役者として活動した。それ以外にイタリア料理店店長や西表島でスキューバダイビングインストラクター、トラックドライバーなど20以上の職種を経て起業。「料理が好きだったのと、歌舞伎で学んだお客さんに楽しんでいただく思いから」かき氷を選んだ。

カウンターで作業をする森西店主(左奥、筆者撮影)

人気店となった後に一段と脚光を浴びたのは、2013年3月にテレビ東京系の経済番組WBS(ワールドビジネスサテライト)が「THE行列 年中いつでもかき氷」と放送してから。

ただ放送後10年以上を経て、当時よりも来店客数は大幅に増えている。なぜ人気が続くのか。

「目の前のお客さんと向き合い、スタッフの感性に委ねながら中身を変えてきました。“フルーツのひみつ堂”と言われるようになったのも、常連の男性客の『果物に特化してやれば?』という言葉がきっかけで、自分たちで栽培もするようになりました。現在の半分ぐらいだったかき氷の量も、店長の大坂早希が『私ならこれぐらい食べたい』という思いで導入。当初、私は違和感を覚えましたが、実際に提供するとお客さんは大喜びでした」(同)

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