登山・ボクシングと「3足のわらじ」履く医師の矜持 中東やアフリカの紛争地で外科医として活動

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池田さんにとって、医療、ボクシング、登山には共通する点があるという。それは、「結果がすべて」という点だ。

「手術は成功すること、ボクシングは相手に勝つこと、登山は頂上を踏むこと。人によって価値基準はそれぞれですが、自分はそういった姿勢で臨んでいます」

彼が大事にしている言葉に、「文武一道」がある。三船久蔵という柔道家の言葉で、学問も武道やスポーツも突き詰めれば根源は同じ、という意味だ。三船は池田さんの母校である仙台第二高校の先輩で、この言葉は学校の講堂に掲げられている。

「医療にせよ、ボクシングにせよ、登山にせよ、いかに自分が結果に対して満足できるか、妥協なくやり遂げるか。その点はすべてにおいて共通している」(池田さん)

体力が続く限り外科医でいたい

MSFの活動は今後も継続したいが、医師の働き方改革もあり、どの病院でも医師が一時的に抜ければ業務に大きな影響が出てしまう。

「これまで職場のサポートと応援をいただいてきましたが、これからはもっと自分自身のスキルを高め、日本の病院でスタッフの1人として貢献していきたい。“こいつがいてよかった”という働き方をしたい」(池田さん)

人生の最終目標は、「我が生涯に一片の悔いなし」。そう思って死にたいと話す。

「これは漫画『北斗の拳』の登場人物、ラオウの言葉です。外科医という仕事は一生できるものではありません。視力や手先が衰えてまで手術に固執したいとは思わない。しかし、体力が続く限り、できるだけ長く外科医としては働きたい」(池田さん)

国境なき医師団 非営利の医療・人道援助団体

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こっきょうなきいしだん / Kokkyonaki ishidan

民間で非営利の医療・人道援助団体。紛争地や自然災害の被災地、貧困地域などで危機に瀕する人びとに、独立・中立・公平な立場で緊急医療援助を届けている。現在、世界約75の国と地域で、医師や看護師をはじめ4万9000人のスタッフが活動。1971年にフランスで設立、1992年には日本事務局が発足した。日本国内では、援助活動に参加する人材の採用・派遣、人道危機や医療ニーズを伝える証言・広報活動、現地医療活動を支える資金調達などを行っている(2022年実績)。

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