登山・ボクシングと「3足のわらじ」履く医師の矜持 中東やアフリカの紛争地で外科医として活動

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その後も2勝して、A級ライセンスを取得したら引退しよう。そう考えていたが、結果は1勝1敗。当時、池田さんは37歳、日本ボクシングコミッション(JBC)が定めるプロボクサーの定年を迎え、ライセンスは失効、強制引退となった。

「悔しかったですね。あのときは、寝ても覚めても“自分は負けた”という事実がつきまとっていた。勝つまでは気が晴れることはないと思いました」(池田さん)

だが、天は強制引退となったプロボクサーの味方をした。2023年、JBCがルールを改正して37歳定年制を撤廃、ライセンスは格下げになるものの、強制引退した選手も再度プロとして試合ができるようになったのだ。

以来、池田さんの戦績は5勝3敗1分。池田さんは言う。「最後は勝利で終わりたい。それまで、ボクシングの挑戦をあきらめないつもりです」。

7大陸の最高峰の登頂を目指す

登山を始めたのは、後期研修最後の年だ。まとまった休みがとれたので、アフリカのキリマンジャロ(5895m)登山を試みた。理由は「世界7大陸の最高峰の1つでありながら、赤道付近に位置するため、特別な技術がなく、登れる山だったからです」と池田さん。

登山の達成感から、残りの6大陸の最高峰の登頂を目指そうと決めた。
2014年にはヨーロッパ大陸のエルブルス(5642m)、2015年には南極大陸のビンソン(4892m)を登り、その足で南米大陸のアコンカグア(6959m)を登頂した。

残るはアジア大陸最高峰のエベレスト(8848m)と、北米大陸のデナリ(6194m)、オーストラリア大陸のコジオスコ(2228m)。エベレストとデナリへの登頂は技術だけでなく、時間とお金もかかる。2022年4月、高地順応や天候待ちを含め2カ月の期間と、国産車1台分くらいの予算をかけてエベレストに向かい、5月に登頂を果たした。

国境なき医師団
2022年5月にエベレストに登頂。これまで医師として働いた中東やアフリカの国々の旗を掲げた(写真:本人提供)

その後、高所順応をキープしたままアラスカに飛び、デナリへの登山隊に合流。こちらも登頂を果たした。コジオスコにも2023年11月に登った。

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