
【配信スケジュール】
6月20日(金)
玉城知事が主張する「平和と自己決定権」の本意
沖縄戦の教訓「命どぅ宝」が意味する希望と真意
6月21日(土)
米軍の環境汚染の責任は?日本政府にあるずるさ
「決定権」奪われ、声を上げ続けてきた沖縄の諦め
6月22日(日)
沖縄と日本の溝を象徴する大田昌秀の人生と絶望
6月24日(火)
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「台湾の人たちも有事にならないように、日本、沖縄に迷惑をかけないように、しっかり世論を築いていただきたい」
2023年2月12日、沖縄県那覇市でこのような発言が飛び出した。発言者は地元紙『沖縄タイムス』の編集局長(当時、現在同社取締役就任予定)・宮城栄作氏。沖縄タイムスも主催に加わった「台湾有事を起こさせない・沖縄対話プロジェクト」のシンポジウムでの一言だった。
この日のシンポジウムでは、台湾から現地の与野党にそれぞれ近い論者を招き、沖縄の識者や活動家との対話がなされた。出席者の一人だった山本章子・琉球大学准教授は会場で次のように総括的に指摘した。
「議論のスタート地点を明らかにした意味で有意義だった。願望や政治的主張でなく現実として、我々が今どこに立っているのか、台湾と沖縄それぞれの立場から確認ができた。今後も事実として我々が今どこに立っているのか、立たされているのか絶え間なく確認したい」。沖縄と台湾の相互理解を事実に即して進めていく、その一歩になる面は確かにあった。
台湾を嘲笑する雰囲気
一方で、一部の沖縄側の出席者からは、台湾の出席者の情勢解説に対して「有事なんてない」と一蹴するなど、台湾の必死さを嘲笑するような態度も見られた。宮城氏の発言は、そのような雰囲気の中で飛び出したものだった。この発言に、台湾出身である筆者は「台湾に対する筋違いの図々しい『要求』」ではないかと強い違和感を覚えた。
SNSに宮城氏の発言への批判を書き込むと、沖縄タイムス編集委員の阿部岳氏が筆者に取材を申し込んでくれた。阿部氏のインタビューを受け、筆者は改めて下記のように批判した。
「台湾は脅威に直面しながら自由と民主主義を守ってきた。独立宣言すれば有事が起きかねないことを理解し、抑制的に行動してもいる」「迷惑をかけないように努力している状況を理解せず、上から目線で要求を重ねた。台湾と沖縄の交流にしこりを残す発言だ」(2023年2月27日『沖縄タイムス』)。
発言した宮城氏も「台湾に軍事的圧力をかけているのは中国側なのに、台湾に責任を負わせ切り捨てるような響きになり、適切ではなかった」と同じ紙面上で釈明した。
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