
「村上さんが、そうとうプレッシャーをかけているようだ」。市場関係者がそう打ち明けるのは、ニッケルメーカーの大平洋金属だ。シティインデックスイレブンスなどの旧村上系ファンドや野村絢氏に株式の10%超を取得され、突き上げを受けていた。
追い詰められた会社側は今年4月、本業であるニッケル事業の縮小ないし撤退と、赤字決算にもかかわらず復配を発表。さらに大株主だった日本製鉄と日鉄ステンレスも同月に全株を売却し、大平洋金属は後ろ盾を失った。
大平洋金属の株価は20年近く右肩下がりが続く一方、自己資本比率は驚異の93.9%。手元の現預金も潤沢で、アクティビストが狙うにはうってつけだった。
狙われやすい企業
アクティビストに狙われやすい企業はどこか。後述の5指標を用いて上場企業の財務や株主データを点数化し、100社をランキングした。冒頭に登場した大平洋金属は堂々の1位だ。
このほかに、どんな企業が狙われそうか。まずは何といっても株価だ。株価水準だけでなく、配当金とキャピタルゲインを合わせたTSR(株主総利回り)にも注目している。昨今では経営効率やガバナンスがどれほど優れていても、TSRが劣っているために、アクティビストの投資対象となった企業もある。
PBR(株価純資産倍率)も引き続き注目対象だ。2023年に東京証券取引所が資本コストと株価を意識した経営を要請したことで、PBRが1倍を下回る企業は、「株価引き上げの努力を怠っている」という大義名分をアクティビストの投資に与えている。
時価総額をネットキャッシュで割ったネットキャッシュ倍率も、昔から存在する指標だ。1倍を切る企業は時価総額よりも現預金の価値が高いため、著しい割安株と言える。余剰資金を吐き出せという要請が、アクティビストから飛んでくる可能性がある。
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