娯楽施設からソニーまで、相次ぐ震災失業の実態、深刻化する解雇・雇い止め
東日本大震災の被災地で、従業員の解雇や雇い止め(期限到来を理由とした雇用の打ち切り)が続発。深刻な問題になっている。
「仙台コロナワールド」(仙台市宮城野区)は、ホテルやパチンコホール、映画館などの大型複合施設。ここで働いていた長谷川健斗さん(23)の自宅に「営業停止に伴う雇用の終了について」と題した解雇通知文書が送られてきたのは4月末のことだった。
運営会社コロナ(本社・愛知県小牧市)から震災被害を理由とした解雇を言い渡されたのは、長谷川さんたちアルバイト社員全員。その数は仙台市内の2施設で、568人に上った。
震災被害を理由に568人を一度に解雇
「会社が解雇に踏み切るのでは」とのうわさは、地震発生後の3月18日ごろからあった。というのも正社員全員が「一時避難」と称して愛知県に帰った一方、アルバイト社員には「ひとまず解散」というだけで、きちんとした指示がなかったためだ。
こうした中、「労働組合を結成して会社と話し合おう」という一人のアルバイト社員の呼びかけに100人以上の同僚が呼応。「宮城一般労働組合コロナ支部」が結成された。
その後、解雇通知が送られてきたことで、アルバイト社員の怒りはピークに達した。そして長谷川さんたち組合員のうち11人は10月25日、地位確認(解雇の無効)および賃金の支払いを求めた労働審判の申し立てを仙台地裁に提起した。
申し立てに加わったシングルマザーの女性(32)は「9年間も勤めてきたのに紙一枚での解雇には納得がいかない。仕事が見つからず、二人の子どもを抱えて途方に暮れている」と語った。