娯楽施設からソニーまで、相次ぐ震災失業の実態、深刻化する解雇・雇い止め
被災地で相次ぐ解雇予告の除外認定
明治大学法科大学院の野川忍教授は、「労働審判では整理解雇の4要件に照らして解雇が適法か否かが判断される」と語る。つまり、(1)人員整理の必要性があり、(2)解雇回避の努力が行われ、(3)解雇される従業員の選定基準や実際の選定に合理性が認められ、(4)労組との交渉や労働者との話し合いなどの解雇手続きが進められている場合には、会社による整理解雇は有効と判断される。
「今回の事例では、解雇を不可避とするだけの経営上の損害の立証とともに、全員解雇という経営判断が不可避だったとする理由を会社側がきちんと説明できなければならない。労組との交渉が解雇通告後に初めて行われたということには、手続きの面で問題がある」(野川教授)。
「解雇にお墨付きを与えるものではない」(厚生労働省労働基準局)というものの、解雇予告除外認定制度を活用して予告手当を支払わない事例も続出している(グラフ)。
仙台空港近くの物流会社(宮城県岩沼市)で働いていた佐藤庄作さん(53)の自宅に、解雇を通知する文書が送られてきたのは3月23日。「退職年月日」は震災翌日の3月12日と記されていた。「あまりにも早い対応だ」と感じつつも、佐藤さんが解雇予告手当の支払いを求めたところ、会社から「除外認定を申請しております」との返答の手紙が来た。