娯楽施設からソニーまで、相次ぐ震災失業の実態、深刻化する解雇・雇い止め

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 この異議申し立てには理由があった。彼らが問題点の第一に挙げたのが、会社のずさんな対応だ。コロナは当初、アルバイト社員の問い合わせに解雇をほのめかす一方で、「解雇ではなく自宅待機」と説明するなど、一貫性のない対応に終始した。

初めての団体交渉(5月8日)より前の4月末に解雇通知文書をアルバイト社員宛に郵送。同文書では「5月31日付で雇用の終了」と記していた。だが、解雇通知文書とともに送付された雇用保険被保険者離職票では、「離職年月日3月31日」と書かれていた。

第二の問題点は、「事業の見通しが立たないと言いながら、早々と営業を再開していたことだ」(長谷川さん)。仙台コロナワールドは8月1日にホテルの営業を再開。同12日にはパチンコホールを再オープンしている。

会社は団体交渉で「皆さん(組合員)の雇用を確保するために、秋ごろに事業再開のメドをつけたい」と述べていながら、テレビCMや新聞広告で新たに人材を募集した。離職票に書かれていた「店舗が倒壊し事業の継続が不可能」との記述も実態と懸け離れていた。

そして第三の問題点が、解雇予告手当や賃金の未払いだった。

労働基準法第20条によれば、労働者を解雇する場合には、少なくとも30日前に解雇予告をするか、30日分以上の平均賃金(解雇予告手当)を支払わなければならない。ただし、地震被害などで事業の継続が不可能な場合には、労働基準監督署長の認定を受けることで、解雇予告手当を支払わなくてもよいとされている。

コロナはこの例外措置を利用し、4月15日に解雇予告の除外認定を申請。労基署は従業員に事情を聞くことなしに、同21日に認定。もっとも認定によって解雇自体が有効となるわけではない。

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