出仕後すぐに実家に引きこもってしまう
「石の上にも三年」なんて諺を持ち出したら、化石扱いされるかもしれない。
限りのある人生だ。自分の意にそぐわない環境ならば、いち早く脱して、自分らしく生きられる道を模索したほうがよい……どちらかというと、そうした考えが支持される時代になった。
そんな空気のなかで、何かと嫌なことから逃避しがちな文豪たちを取り上げて、『逃げまくった文豪たち 嫌なことがあったら逃げたらいいよ』という本を書いたりもしたが、紫式部もまた慣れない宮仕えに嫌気がさすと、早々に退散している。
紫式部が、藤原道長の娘で、一条天皇の中宮である彰子のもとに出仕したのは、寛弘2(1005)年、あるいは、寛弘3(1006)年頃だとされている。


















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