〈資本論〉入門 デヴィッド・ハーヴェイ著/森田成也、中村好孝訳 ~“精読”に誘う『資本論』読破の友

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言うまでもなく、質的な人間労働の相違を無視した古典派の議論は乱暴である。一方、新古典派の価格理論も靴1足の平均価格がシャツ1枚の4倍〈である〉ことは示せても、どのような「価値」が靴の価格として〈現われ〉、なぜシャツの4倍なのかまでは説明できない。これに対し、マルクスが示す社会的時間を用いれば、労働の質の差も、また何が商品間の価格の相違となって〈現れる〉のかも、社会的時間の量(=価値)によって統一的に説明できる。

もちろん社会的時間の定式化は今日においてもアポリア(難題)である。しかし、これこそが『資本論』全体を貫く主題の一つだとハーヴェイは言う。本書は『資本論』を読破する旅の友だ。友がいれば長く困難な旅もくじけずに続けることができる。

David Harvey
ニューヨーク市立大学特別教授。1935年英国生まれ。ケンブリッジ大学より博士号取得。ジョンズ・ホプキンス大学、オックスフォード大学各教授を経る。専攻は経済地理学。2008年『資本論』講義のインターネット動画にアクセスが殺到し、著名に。

作品社 2940円 536ページ

  

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