もっとも清少納言の場合は、社交的な性格で、宮仕えを楽しんでいたことが『枕草子』からはありありと伝わってくる。それがゆえに、世間に何を言われても「憎たらしくは思うけれど、仕方がないかな」と流す余裕もあったのだろう。
陰気な彰子に式部が覚えたシンパシー
一方、式部は自分の性格を「埋もれ木を折り入れたる心ばせ」と評している。「埋もれた木」だけでも十分、引っ込み思案なのに、それを折って土に埋めるくらい、と自虐するほどだから、少なくとも社交好きではなかったのだろう。式部は宮仕えを始めたものの、数日で実家に帰り、3カ月も引きこもってしまった。
それでも「あまりものづつみせさせ給へる御心」(あまりにも控えめな性格)を持つ彰子に、どうしようもなく惹かれたようだ。式部は再び出仕し、彰子のそばにいようと決意するのであった。
【参考文献】
山本利達校注『新潮日本古典集成〈新装版〉 紫式部日記 紫式部集』(新潮社)
『藤原道長「御堂関白記」全現代語訳』(倉本一宏訳、講談社学術文庫)
『藤原行成「権記」全現代語訳』(倉本一宏訳、講談社学術文庫)
倉本一宏編『現代語訳 小右記』(吉川弘文館)
源顕兼編、伊東玉美訳『古事談』 (ちくま学芸文庫)
桑原博史解説『新潮日本古典集成〈新装版〉 無名草子』 (新潮社)
今井源衛『紫式部』(吉川弘文館)
倉本一宏『紫式部と藤原道長』(講談社現代新書)
関幸彦『藤原道長と紫式部 「貴族道」と「女房」の平安王朝』 (朝日新書)
繁田信一『殴り合う貴族たち』(柏書房)
倉本一宏『藤原伊周・隆家』(ミネルヴァ書房)
真山知幸『偉人名言迷言事典』(笠間書院)
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら