なぜグーグルは「アルファベット」になるのか 過去の成功が革新の邪魔になっていた

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ここ数年、「検索」と「広告」を結び付けて効率的に売り上げを伸ばしていくことに対し、さまざまな反発があった。競合各社が独禁法に絡めてクレームを入れてくるため、ここで乱暴に成長を追うことは難しい。実際、サービスインできなかった事業は多い。つまり、「インターネットの水先案内人」の立場を利用した新規事業は壁にぶつかっていたといえる。

ハードウエア事業も成功したとはいえなかった。グーグルがアップルに勝てない点は、「利用者の体験をコントロールすること」。広告を基礎にしたグーグルの事業モデルを拡張するアプローチでは、たとえ Nexusという自社ブランドのハードを投入したところで、品質や完成度、利用者の体験をコントロールできない。企業としてのDNAが異なっているのだ。

そのため、グーグルは果敢に「多角化」を進めていた。コア事業で得た 利益や、そこから派生した技術への投資にも、ここ数年、積極的に取り組んでいる。ライフサイエンス、ドローン、ドライバーレス自動車、洋上ビルなどだ。

これらはグーグルのコア事業とのつながりが薄く、方向性も違う。無理に結びつける必要がない、まったく新しい事業といえる。これらはコア事業の行き詰まりを受けての投資といえるだろう。

確信があっての挑戦ではない

こうした状況を打破するために、「インターネットの水先案内人」として定着したグーグルブランドを維持しつつも、新たな成長分野に積極投資していく体制を整えようというのが、今回の体制変更だ。

おそらく、これまでに行ったいくつかの投資によって自信を深め、グーグルの事業モデルにとらわれない新領域の開拓を「本業」とすることを決めたのだろう。場合によっては、既存のグーグルの事業とは競合するようなモデルを打ち出してくる可能性もある。

「破壊」を自らの手で行わない限り、あっという間に外部勢力によって、その王座は崩される。栄華を誇ったマイクロソフトの"凋落"を目の当たりにしたグーグル経営中枢には、その思いがあったはずだ(ここのところ、すでにラリー・ペイジは「旧世代」とみられるようにもなっていた)。

こうした状況を一気に打破するための「破壊と創造」といえる。とはいえ、決して成功への確信を持って乗り出したものではなさそうである。

本田 雅一 ITジャーナリスト

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ほんだ まさかず / Masakazu Honda

IT、モバイル、オーディオ&ビジュアル、コンテンツビジネス、ネットワークサービス、インターネットカルチャー。テクノロジーとインターネットで結ばれたデジタルライフスタイル、および関連する技術や企業、市場動向について、知識欲の湧く分野全般をカバーするコラムニスト。Impress Watchがサービスインした電子雑誌『MAGon』を通じ、「本田雅一のモバイル通信リターンズ」を創刊。著書に『iCloudとクラウドメディアの夜明け』(ソフトバンク)、『これからスマートフォンが起こすこと。』(東洋経済新報社)。

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