大活躍「ロバート秋山」なぜ「天才」と呼ばれるのか 令和の正統派「万能」コメディアンの魅力とは
そして秋山の曲だけで構成された『秋山歌謡祭』(メ~テレ)という特番も昨年から放送されている。実は企画したディレクターの篠田直哉は、少年時代から秋山の熱狂的なファン。お笑いライブの客席に座り、忘れないよう必死でメモを取っている「メモ少年」として有名だった。その彼が長じてテレビ局員となり、『秋山歌謡祭』を実現させた。オタクとしての夢を叶えたわけである。ロバート秋山という芸人の持つ強烈な魔力を物語る話だ。
このように最近は、バラエティはもちろんドラマに歌にと万能ぶりが際立つ。しかも、普通なんでもできる器用な芸人にマニアックな印象はあまりないが、秋山は異なる。メジャーになってもマニアックさが失われない。その点、別格だ。
芸人・ロバート秋山の3要素とは
ロバート秋山の芸は、どんな場合も演技力、発想力、そしてアドリブ力がベースにある。この3つがしっかり噛み合うことで、他の芸人には追随できない「秋山ワールド」が生まれる。
演技力についてはいうまでもないだろう。大河ドラマでもそれは証明されているが、バラエティ番組でネタをやっていないときも“素が見えない”ところがある。いつも誰かを演じているような底の知れなさとでも言ったらよいだろうか。
「クリエイターズ・ファイル」も、よく見ると絶対にいそうにない人物なのだが、秋山が演じることで「こういう人いるよね」と思わされてしまう。
裏を返せば、そこには卓抜な発想力がある。
「クリエイターズ・ファイル」は「あるある」ネタ的なところもありつつ、「どこからこんな人を思いつくの?」というオリジナリティに驚かされる。「TOKAKUKA」にしても、「そこを歌にする?」とあきれながら感嘆してしまうような発想の飛躍がある。
あまり知られていないかもしれないが、『IPPONグランプリ』(フジテレビ系)で実は3回優勝経験があるように、大喜利にも強い。
そしてそれらにアドリブ力が加わることで、いっそう芸のすごみが増す。
『秋山ロケの地図』で即興劇をやるとき、もちろん台本はない。すべてアドリブである。たとえ素人が相手でも面白く成立させる手腕は流石だ。
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