もちろん、東京にはまだまだ足りないものがある。例えば英語の案内やさまざまな宗教の人々に提供できるレストランなど、インターナショナルな対応だ。しかし、この点については2020年の東京オリンピックが改善の良い機会になることは間違いない。
資金流入という意味でも、東京は圧倒的だ。野村総合研究所のデータ(「NRI生活者1万人アンケート調査」)によれば、相続市場は1年間で47兆円にのぼるという。これは何を意味するか。相続の現金を土地にすると評価額が下がる。下手をすれば相続税が半分程度になるため、相続人は当然値下がりリスクの低い東京の物件を買うことになる。
五輪後、東京はマンハッタンになる
つまり、人の一生を通じて日本のお金は構造的に全て東京に集まってくる仕組みなのだ。仮に、相続額の1割〜2割が入ってくるだけでも4兆〜5兆円の規模になる。これで不動産の価値が下がるわけがない。
中国の経済状況が不透明のため、中国資本の一部が東京に逃げてきているのも、東京にとってはアドバンテージといえるかもしれない。逃避資金なので、彼らは何でもいいからとにかく買ってしまう。これがある以上、東京の地価が下がることはない。ロンドンの地価が上がったのも、中東のお金が入ってきたためだ。
反対に、地方はますます人口が減っていく。残るのは各地方の拠点都市ぐらいか。北陸であれば新潟と金沢、東北は仙台。どちらも人口は増えている。福岡も同様だ。30年前の人口は100万強だったが、現在は150万人近くある。九州自体の人口は1000万人位で変わらない。つまり、他の地域から福岡に人が流入しているのである。
さて、結論を述べることにしよう。
五輪後の東京のイメージは、ニューヨークだ。東京はマンハッタンのようになる。人があまり住まなくなる場所と、つくしのように上へ上へと伸びていく中心部とに二分される。
都心の建物は、住宅のビル化・高層化現象が間違いなく起きていくはずだ。そして、東京に住む人は、東京の超都心で暮らすか、地方で暮らすかというドラスティックな選択を余儀なくされる。皆が住中心部に住めば、そこに雇用が生まれ、生産性が上がっていく。日本にとっても東京のさらなる活性化は必至なのである。
大好評の黒崎氏の連載は今回でいったん終了となります。9月以降に連載再開の予定です。ご期待ください。
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