大手不動産業界の圧力も加わり、最終的には容積率の大幅アップが実現すると私は見ている。そうなれば、都心のさまざまな場所で滞っていた建て替え計画が一気に動いていくはずだ。
規制緩和で、潜在的な再開発物件が動き出す
建築需要も大幅に増える。とりわけ顕著なのが1964年の東京オリンピックの際に好立地に建てられた億ションの元祖「ヴィンテージマンション」の建て替えだ。現状は、理事会の建て替え提案に対して賛成多数にもかかわらず、慢性的に出口の見えない閉塞的状況に陥っているところが多い。なぜなら容積をフル活用して建てられていることもあり、新築事業を推進すると、収支が合わないからだ。
その代表格といえるのが、現在部屋がどんどん売りに出ていている原宿駅前のヴィンテージマンション、コープオリンピアだ。このマンションは今や、ほとんどがオーナー自身は住んでおらず、多くの部屋が賃貸に出されている。利回りから言えば良い投資ではないものの、販売案内にこのように書かれていることには注目したい。
「建て替え狙いの方はオススメです」そうはっきり書いてあるのだ。これらを見る限り、さまざまな規制が緩和の方向に向かっていることは間違いない。また、そうせざるを得ない状況だと捉えることができる。
今一度考えてみてほしい。東京ほどアドバンテージやポテンシャルがある主要都市は世界にはないのではないか。世界一清潔で安全、かつ食べ物が美味しく、交通の利便性も高い。外国から帰国するたびに、これだけ空気が綺麗で、いつも晴れているメトロポリスはないと痛感する。そういった意味では、世界を牽引する力があるのは明らかだ。
上下水道などの社会インフラが本当の意味で完備している国もアジアでは日本ぐらいだ。余談になるが、例えばなぜ香港で鳥インフルエンザが流行してしまうかといえば、上下水道の排水が混ざってしまうなどの問題もその理由の一つにあげられているくらいだ。上下水道を完璧に分けたインフラをつくるのは簡単なようで、実は大変なことなのである。
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