この常識を覆したのは、田中真紀子外相を更迭して支持率が急落し、翌年の日朝首脳会談で復活を遂げた2002年の小泉首相くらいである。
しかもこの後、安倍政権にとって「トリプルデメリット」とも言うべき3つのイベントが控えている。「エネルギー政策」「歴史認識」「景気の現状」という3連発だ。
もしお盆の時期に支持率がさらに下がったら?
1. 九州電力の川内原発が再稼働(8月11日頃)
原子力規制庁の新規制基準における初めての再稼働となる。4年ぶりの起動であるから、トラブルが生じる可能性も否定できない。
2. 戦後70年の安倍談話(8月15日)
どんな内容になっても、「右」と「左」の両方に不満が残り、それ以外の人は関心がない。結果として内閣支持率にとってはほぼ確実にマイナスとなる。
3. 内閣府が4-6月期GDP成長率を発表(8月17日)
個人消費の不振や鉱工業生産の低調さから考えると、どうやら年率2%前後のマイナス成長が予想される。足元の7-9月期は改善しているようなのだが…。
お盆の時期に政権支持率が下がることは、議員にとって重要な意味を持つ。地元で「あいさつ回り」をする際に、世間の逆風が身に沁みるのである。
ある保守王国選出の自民党議員が言っていた。「地元の盆踊り大会で挨拶をさせてもらえなかった。それくらい雰囲気が悪くなっている」。「俺でさえこうなんだから、浮動層の多い都市部の選挙区は大変だぞ」。
もっとも、差し迫った危険を感じているといったほどでもなかった。世論調査の内閣支持率は軒並み低下しているが、自民党の支持率は意外と底堅い。逆に民主党など野党の数字は伸び悩んでいる。そして国政選挙はいちばん近くても来年の参院選だ。
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