日本の総人口は10年前の2005年をピークに減少を続け、今年(2015年)は、4人に1人が65歳以上の高齢者となる(日本の将来推計人口)。平均寿命の伸びと出生率の低下が相まって、少子高齢化は進むばかりだ。
その影響は企業社会にも着実に現われている。東洋経済オンラインは主要な上場企業の従業員の平均年齢が、過去10年でどれだけ変動したかを調査。第1弾として「従業員の平均年齢が上がった=高齢化した」企業の上位500社のランキングを紹介する。
約3600社の上場企業すべてを網羅している『会社四季報』(2015年夏号発売中)で集計しているデータを活用。直近の従業員平均年齢を、10年前の平均年齢で引き、増加分の多い順に並べた。ランキングは平均年齢の増加分と直近の平均年齢だけでなく、売上高成長率、従業員数増減率、直近の従業員数も併記した。
10年以上前から上場し、従業員の平均年齢を継続して公表している約2600社が集計の対象だ。ただ、この10年で本社の中枢を担う社員しかいないケースが多い純粋持ち株会社に移行した会社、逆に純粋持ち株会社から事業会社に移行した会社などは、原則として除いている。
従業員を減らしている企業が目立つ
従業員の平均年齢が上昇するカラクリはさまざま。ただ、従業員の高齢化が著しい上位企業に多い傾向としては、業績不振やビジネスモデルの行き詰まり、外部環境の悪化などが要因にありそうだ。従業員を増やさず、自然減となっても若い社員を新たに採用しなかったため、結果として従業員の平均年齢が上がった構図があるように見受けられる。
上位には売上高を伸ばせていない企業も目立つ。従業員を減らしながら、企業が高齢化すると活力は失われがちになる傾向が相対的にあるようだ。
日本企業の多くが、バブル期の大量採用により現在50歳前後に多くの従業員を抱えている。一方、1990年代後半~2000年代前半にかけては、日本が企業にとってかなり厳しい事業環境が続き、新卒採用を抑制する事態が起きた。
その後の10年はリーマンショックを経て、雇用環境は回復してきたものの、そもそも若い世代の人口が少ないことも相まって、多くの企業で高齢化が進んだようだ。調査対象約2600社のうち、7割超となる2000社弱で平均年齢が増加。平均でみると約2歳分、歳を取っている。年齢ピラミッドのバランスを崩している企業も多く、高齢化の傾向はまだ続くだろう。
一方で、従業員の平均年齢が上がることは悪い傾向ばかりを示していない。まだ社歴が浅かったり、成長途上だったりして、売上高、従業員の増加ととともに平均年齢が上がっているような企業は、「健全」なケースといえよう。人間は誰もが歳を取る。いかに新興企業といえど、いつまでも若い従業員ばかりで構成していられないということも、示している。