ふだん当たり前に浴びていた太陽の光は、じつは人類が憧れるようなものすごい仕組みによって生み出されていたということ。焚き火とはまるで異なる特別なものだったのです。
巨大化した太陽は地球を飲み込むのか?
次に押さえておくべきは、「恒星にも一生がある」ということです。つまり、星も人間のように「生まれて」「一人前になって」「老いて」、「死」を迎えます。
天文学的には、恒星の中心部で水素の核融合反応が起こり、安定して光り輝いている期間を「寿命」と呼んでいます。
恒星は「中心部にある水素」を使い果たすと、ぶくぶくと膨らんでいって巨大化します。これがいわゆる恒星の老年期です。
どうして巨大化するのかというと、恒星の「外側にある水素」が核融合反応を起こすようになり、ガスが熱を帯びて膨張するからです。
膨らむと表面温度が低くなり、赤くなります。この年老いた恒星を専門用語で「赤色巨星」や「赤色超巨星」といいます。文字通り、赤くて大きな星です。
「老人の星」の中心部には、水素からつくられたヘリウムが蓄積し、これを燃料にした新たな核融合反応が起きはじめ、炭素や酸素がつくられます。
太陽の寿命は約100億年で、現在46億歳。人間界では「人生100年時代」といいますから、現在の太陽は人にたとえると46歳くらいでしょうか。いまから約50〜60億年後には、太陽は赤色巨星になります。
じつは太陽が老いて、ぐんぐん膨ふくれあがる過程で、水星と金星を丸飲みしてしまうことがわかっています。地球も飲み込まれるのか、なんとか逃げられるのかは、見解が分かれるところです。
太陽はやがて地球を飲み込めるほど大きくなりますが、膨らみながら少しずつ軽くなることで地球を引っ張る力が弱まります。うまくいけば地球は逃げ切れるかもしれません。
ただ、飲み込まれそうになるよりももっと早い段階で、地球の海は蒸発してしまうでしょう。生命が生き延びようと思ったら、火星に脱出しておかなければなりません。
それが現実になるのか、どうか――。
驚くべき「火星移住」の現実については、次回詳しくお話ししますね。
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