BPOの大義はあくまで言論・表現の自由を守ること 元BPO委員「コンプライアンスにもほどがある」

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民放連放送基準「3章 児童および青少年への配慮」には、「(15) 児童および青少年の人格形成に貢献し、良い習慣、責任感、正しい勇気などの精神を尊重させるように配慮する」「(17) 児童向け番組で、暴力・残忍・陰惨などの場面を取り扱う時は、児童の気持ちを過度に刺激したり傷つけたりしないように配慮する」とある。また「8章 表現上の配慮」では、「(47) 不快な感じを与えるような下品、卑わいな表現は避ける」としている。

それではBPOは上記の点についてどのような意見を出しているだろうか。青少年への配慮を審議するBPO青少年委員会は、個別の番組を審議する場合は、放送局の制作担当者との意見交換や書面での質問をもとに問題点を議論し、「委員会の考え」をまとめる。委員の3分の2以上の賛成があれば委員会の「見解」とすることができる。

青少年委員会が放送局に向けて伝える「委員会の考え」は、放送事業者の自主的検討を促すことを目的とし公表するもので、基本的には具体的検討結果の報告を求めるものではない。「見解」は、放送事業者の自主的検討を要請するため公表するもので、その具体的検討結果についても放送局から報告を求める(青少年委員会「委員会活動と議論の流れ」より)。

青少年委員会が2000年に設立されて以来、検討結果について放送局に報告を求めるという強い拘束力を持つ「見解」は4回出されている。放送局に自主的検討を促す「要望」が5回、「提言その他」が5回である。

テレビ制作者の「職業倫理」に求められること

このうち「出演者に対する暴力表現」を扱ったものが、「バラエティー系番組に対する見解」(2000年)、「『出演者の心身に加えられる暴力』に関する見解について」(2007年)、「『痛みを伴うことを笑いの対象とするバラエティー』に関する見解」(2022年)の3回ともっとも多い。少し長いが、22年「見解」の「結び」を引用したい。

バラエティー番組がテレビにおける重要なジャンルの一つであることは疑いようがなく、当委員会は、テレビ局関係者との意見交換等をとおして、制作者が限られたリソースのなかで工夫を重ね、視聴者に快い笑いを届けるために努力を重ねていることも認識しているつもりである。

その上で、70年余のテレビの歴史とその公共性に鑑みれば、その時々の時代や社会状況のなかで、視聴者を楽しませるバラエティー番組の制作を実現するためには、番組制作者の時代を見る目、センスや経験、技術を常に見直し、改善し、駆使することが重要であることを改めてお伝えしたい。

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