BPOの大義はあくまで言論・表現の自由を守ること 元BPO委員「コンプライアンスにもほどがある」

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そして、「他人の心身の痛みを嘲笑する」演出が、それを視聴する青少年の共感性の発達や人間観に望ましくない影響を与える可能性があることが、最新の脳科学的及び心理学的見地から指摘されていることも事実であり、公共性を有するテレビの制作者は、かかる観点にも配慮しながら番組を作り上げていくことが求められている。

この結びには、BPOの立場が余すところなく述べられていると思う。1段目ではバラエティ番組制作者の「表現の自由の尊重」を議論の前提としている。

にもかかわらず2段目では、「社会の常識(コモン・センス)」に照らして、視聴者が楽しむことができるバラエティ番組を制作するために、番組制作者の時代を見る目や番組制作手法を「常に見直し、改善し、駆使することが重要である」と指摘する。

そして3段目では、「他人の心身の痛みを嘲笑する」演出が青少年に与える影響に配慮することが必要ではないかと、テレビ制作者の「職業倫理」に訴える。

2022年の勧告では、バラエティ番組についての中高生モニターの感想が、青少年委員会の審議を始める起点となっていることを見逃してはならない(同委員会2021年7月「議事概要」など参照)。そして、たとえ芸人の苦痛を見て楽しんでいる視聴者がいたとしても、ダメなものはダメと率先して社会の規範を構築していく役割が放送人に求められている。

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それでは、「卑わいとみなされる表現」については、どうだろうか。これも青少年委員会の審議経過を見ると、意外なことにこの点について審議された番組は少ない。

アニメ「最近、妹のようすがちょっとおかしいんだが。」(2014年)が最後であり、「幸せの時間」に関する「委員長談話」(2013年)がその前に出されている。「要望」として公表されたものはさらに遡って「『少女を性的対象視する番組に関する要望』について」(2006年)の1回である(単に委員会で意見交換された番組は除く)。

そして要望などの内容を見ると、いずれも青少年の出演者をめぐる性的表現が問題とされていることがわかる。

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