中国はロシアの制裁を受けておらず、中国の航空会社は以前と同様にロシア領空を飛べる。言い換えれば、同じロンドン-上海間のフライトでも、中国系エアラインは西側の航空会社より短時間かつ低コストで運航することができる。
それだけではない。これを商機ととらえた中国の航空会社は、イギリスへの直行便をこぞって増やしている。例えば国有航空大手の中国国際航空(エアチャイナ)は、2024年6月から週62往復に増便した。
中国の航空情報サイト「飛常准」のデータによれば、中英間で直行便を運航している航空会社は現在10社ある。だが、そのうちイギリスの航空会社はブリティッシュ・エアウェイズ(BA)とヴァージンの2社だけであり、残り8社はすべて中国系だ。
カンタス航空も中国撤退
「中国発着の国際線の旅客数は、全体的にはまだコロナ前の水準を回復していない。そのため、中国の航空会社は保有する(国際線仕様の)大型旅客機を持て余しており、外国航空会社の乗り入れに対して開放的な国への増便に振り向けている。イギリスはその1つだ」
財新記者の取材に応じた中国の航空業界関係者は、中国の航空会社の内情をそう解説した。
中国路線から撤退を迫られたのはヴァージンだけではない。オーストラリア航空大手のカンタス航空は、同社が運航するオーストラリア−中国間の唯一の直行便を7月28日から運休する。
この路線は2023年10月に(コロナ後の)運航を再開したばかりで、ロシア領空を迂回する必要はまったくない。だが、(オーストラリア行きの増発を競う)中国系エアラインの過当競争に太刀打ちできなかったと見られる。
(財新記者:鄒暁桐)
※原文の配信は7月18日
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