「職場のパワハラ人材」容易に解雇できないワケ 人事を悩ます「パワハラか、パワハラ未満か」

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ある上司の下だけ、なぜか部下が何人も辞めていたり、休職したりしている……。そうしたケースも、本人たちからのパワハラの訴えや明らかなパワハラの事実がない限り、当該上司に懲戒処分を下すことはできない。

もちろん、部下が何人も潰れているのであれば、マネジメントに不向き、あるいは人間性にも問題があるとして、部下をつけない形での配置転換を行うなど何らかの対処が必要だ。

だが、解雇までは容易にできないため、ある種、“厄介な問題社員”として会社に残り続けることになる。人事が言っちゃいけないが、そういう人物に限って会社にしぶとく居座り、定年まで辞めてくれないのである。

「パワハラ人材は採用しない」が鉄則

たった一人のパワハラ人材が、職場環境をたちまち悪化させ、良貨を駆逐してしまうことがある。

だからこそ、そもそもパワハラ人材は、組織に入れないのが鉄則だ。私自身は、「少しでも“パワハラ臭”がしたら採用しない」ことをポリシーとしている。

とはいえ、限られた選考プロセスで、パワハラ人材を見抜くのは至難の業だ。

たとえば、応募者の中には、目標達成のために“強いリーダーシップ”で部下を導くタイプの人もいる。ときに部下を鼓舞し、ときにフォローしながらも、力強い推進力で瞬く間に結果を出していく。

こうしたデキる管理職は、即採用レベルなのだが、「強いリーダー」と「パワハラ上司」は似て非なるものであり、紙一重でもある。

一見、見分けがつかない、「隠れパワハラ人材」を見抜くべく、日々目を皿のようにして採用活動を行っているのが現状だ。次回は、パワハラ人材を見抜くために採用時に心がけているポイントについて、お伝えしたいと思う。

【続きの記事】「隠れパワハラ人材」見抜く採用担当あの手この手

萬屋 たくみ 会社員(人事部長)

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よろずや たくみ / TAKUMI YOROZUYA

人事歴20年以上。大学卒業後、証券会社を経て、米国にMBA留学。経営視点からの人事戦略について学びを深める。帰国後、大手メーカー(売上高数兆円規模)の人事職に。国内外の拠点にて、採用から教育、人事異動、評価・報酬、労務など人事全般を手がけるほか、日々降りかかる社内の難題に取り組む。それらの実績と問題解決力が買われ、異例の30代で本社人事部の部長職に。さらに幅広い業界・業種で経験を積むため、総合商社やメーカー(外資・ベンチャー含む)にて、人事部長として組織づくりや改革に力を注ぐ。

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