一方、ヒアリングの結果、「パワハラとは言い切れないものの、上司の態度や言動に問題が見られる」場合もある。その場合はさらに上役の部長や役員に登場してもらい、注意・指導をしてもらう。
ときに、上層部からの注意・指導は、パワハラや問題行動への抑止力にもなる。
部下を潰していても解雇はできない
このように、悪質なパワハラ行為があったと断定できない限り、基本的に「本人への注意・指導」や「配置転換」という形で“経過観察”することになり、懲戒処分まで至らないケースがほとんどだ。
私自身が見聞きした中での話だが、これまで20年以上、複数の会社で人事を経験してきて、パワハラが理由で懲戒解雇になった社員は、一人もいなかった。
懲戒解雇とは、従業員を一方的に解雇する処分のこと。退職金も出ない、懲戒処分の中で最も重たい処分だ。悪質なパワハラを何度も繰り返し、そのたびに厳重注意や減給、出勤停止などの懲戒処分をしてもまったく改善が見られない場合に、初めて検討されるべきものである。
懲戒解雇に至るまでには段階とそれ相当の事由が必要であり、パワハラをしたから即辞めさせる、というわけにもいかないのだ。
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