“お家騒動”克服「あきんどスシロー」に学ぶ再生術 値下げ路線を修正、ブランド価値を再構築

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通常の広告宣伝は、目先の売り上げを確保するためにタレントなどを使い、割安な価格設定を前面に出すのがセオリーだ。「スシロー」はあえて逆を行くことで、売り上げ増を成し遂げた珍しい例ともいえる。業態の強みとは関係ないキャラクターは広告に登場しない。一皿100円であることもうたわない。「回転ずしには安かろう悪かろうというイメージが存在する。ただ、業界の競争の軸と『スシロー』の持つ軸は異なるという点を強調したかった」(市耒)。

社名ロゴも高級感ある「吟味 スシロー」に刷新した。今後は皿や店員のユニフォームまで、うまさの「スシロー」と結び付くデザインに変更していく方針だ。

利益捻出より先に企業価値を見直す

あきんどスシローに限らず、外食チェーンはオーナー企業の経営が行き詰まり、MBOを実施したり、買収されたりするケースが多い。その後の業績を見ても、低迷を続けるケースがほとんどだ。

すかいらーくは06年野村証券系のファンドらと組み当時国内最大規模のMBO(約2700億円)を実施するも、業績不振から08年に創業家の社長が解任された。「牛角」のレックス・ホールディングスは、外食事業の既存店が苦戦。「am/pm」を09年末に売却、今年は虎の子の「成城石井」すら売却し、糊口をしのぐ苦しい状況だ(表)。

 

 

 

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