ほぼ黒塗り!半導体ラピダスへ「巨額支援」は正当か 経産省は前のめり、浮上した政府保証付き融資
突如浮上した、融資への「政府保証」
総投資額で5兆円とも予想される中、目先に迫った課題は、量産までの資金調達だ。
ラピダスへの研究委託は2019年に設立された「ポスト5G基金」から捻出されてきた。だがコロナ禍以降、国の基金が乱立。政府は2024年4月に基金の管理を厳格化する方針を打ち出した。基金に新たな予算を追加できるのは最大3年間までとなり、その後の増額については成果によって判断する。ラピダスが量産開始を目指す2027年まで、現在の枠組みで支援を受け続けられるかは不透明だ。
「日本の支援規模は各国に比べて突出している」。5月21日に財務省の財政制度等審議会は、日本の半導体産業への支援金額がGDP比で各国に比べ、高水準にあることを指摘。「安定的な財源と一体で出口戦略を含めた戦略を描くべき」だとする建議を行った。
一方、その10日後の同月31日に経産省は、「税額控除も含めれば日本の支援額は各国並みかそれ以下に収まる」と分析した資料を公開。資金調達方法を多様化するため、ラピダス向け融資に「政府保証」をつける案を検討していることを明らかにしたのだ。法制化も目指すとしている。
この融資保証に「違和感がある」と財政審の委員も務める一橋大学大学院の佐藤主光教授は疑問視する。「融資保証は投資への責任が曖昧になりモラルハザードにつながりかねない。資金力のない中小企業などには行われてきたが、ラピダスは株主構成から事実上“大企業グループの子会社”で、同社にはそぐわない」。
経産省と財務省の舌戦が象徴するように、不透明になってきた資金調達の先行きは、ラピダスの取引先企業の意思決定にも影響しつつある。「千歳に事業用地を取得しようとしていたが、将来どうなるかわからなくなってきた。いったんリースにすることも検討している」(取引先関係者)。
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