ほぼ黒塗り!半導体ラピダスへ「巨額支援」は正当か 経産省は前のめり、浮上した政府保証付き融資

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不透明なのは資金調達の行方だけではない。資金の運用方法の透明性にも課題がありそうだ。

そもそもラピダスも依拠してきた基金とは、複数年度にわたるテーマでも、各省庁の裁量で支出ができる仕組みである。長期間にわたって継続的な投資が必要になる半導体分野など、単年度予算主義の日本でも長期的な支援ができることがメリットになる。

ただ、佐藤教授は基金の運用には、「単年度の予算と違い、外からの監視の目が行き届きづらい。支出先や金額は妥当か、効果はどれだけあるか。問われるのは説明責任だ」と指摘している。

返ってきた開示請求は”黒塗り”ばかり

では実際にどれだけ外部からの検証が可能なのか。東洋経済は実際にそれを確かめるため、経産省とNEDOの両者に、ラピダスに関する情報の開示請求を行った。

経産省に対しては、ラピダスへ2600億円支援を決めるまでの過程の審査書類の開示を請求。2600億円は23年に決まったもので、主に千歳工場の着工をするための資金である。誰がどう意思決定したか確認するためだ。

またNEDOにはラピダスに行った検査の書類開示を請求した。NEDOは、ラピダスなど研究委託先へ資金を拠出した際、正しく使われていたか検査する作業を行っている。こちらもどう検査されているのかを確認するためだ。

その結果、経産省から開示されたのは、「ステージゲート審査」関連の資料である。ステージゲート審査とはNEDOで行われるもので、外部有識者からなる委員会が開発テーマについて、今までの成果や今後の事業計画を評価する。ここで一定以上の評価を得られれば、ステージゲートは無事通過し、次年度の支援を受けられる。

結論を言えば、開示された資料は一般的な制度の説明などの部分以外、すべて黒塗りになっていた。事業計画や予算状況、それに対して誰がどのように評価し、巨額支援が決まったのかをうかがい知ることはできない。

またNEDOから開示された検査書類も同様に、事業計画や資金使途については墨消し状態だ。ラピダスに支出された金額がどう使われたのか、外部から検証することはできなくなっている。

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