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ほぼ黒塗り!半導体ラピダスへ「巨額支援」は正当か 経産省は前のめり、浮上した政府保証付き融資

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経産省やNEDOが資料の一部を非開示とした主な理由はいずれも、「競争上の地位を害するおそれがあるため」。確かに最先端の研究開発の情報をやみくもに開示することは競争を阻害することにつながるかもしれない。

とはいえ1兆円もの税金が投入され、融資への政府保証すら検討され始めた一大プロジェクトで、外部から監視の目が届かなくなっているのも事実だ。前出のラピダスの取引先関係者は明かす。「半導体工場を建設するに当たっては、一般的には資材調達などで複数社から見積もりをもらうもの。だが千歳工場はそうしたステップを踏まずに進んでいるようにみえる。正当性を問われたら合理的な説明がつかないのではないか」。

後工程でのハードルは高い

現実のビジネス面では着々と布石を打っている。2023年11月にはカナダのテンストレント、2024年5月にはアメリカのエスペラントという、AI(人工知能)半導体に特化したスタートアップとの提携を発表した。まだ十分とはいえないが、顧客開拓は進んでいる。

ラピダスと加テンストレントが提携、握手する小池社長(左)とジム・ケラーCEO(写真:編集部撮影)

戦略の柱の1つであった後工程分野でも、4月に535億円の支援が決定、ドイツの研究機関のフラウンホーファーとの提携も公表した。AI向けをはじめ、最先端品では2ナノの回路を描く前工程は当然ながら、後工程においても先端技術の開発は欠かせない。

前工程と同様、後工程が成功するハードルは高い。東京工業大学で後工程技術を研究する栗田洋一郎特任教授はラピダスについて、「開発しようとしているのは学会で『これ以上の高性能化はできない』と結論づけられたスペック以上のもの」と実現性を疑問視。他方で、「日本には後工程の先端材料や装置に強いメーカーが集まっており十分可能性はある」(東京理科大学の若林秀樹教授)との声もあり、見方は分かれる。

顧客確保や技術開発で進捗があるのは、前工程、後工程ともに間違いないだろう。だが、ラピダスの事業の行方を最も左右するのは、今後も続くであろう政府による巨額支援だ。その正当性の検証がなされないまま、ラピダスは量産へ向けて突き進んでいくことになる。

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