息切れ?再成長?パズドラの未来はどっちだ マルチプレー機能などでテコ入れを実施

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国内にとどまらず、北米市場でもテコ入れする。5月時点のダウンロード数は700万回で伸び悩んでいたが、年末商戦のタイミングでテレビCMなどを投入。ニンテンドー3DS向けの「パズル&ドラゴンズ スーパーマリオブラザーズエディション(パズマリ)」の国際大会も開催する予定だ。パズマリは今年4月の発売以来、国内の販売本数は29万本で目標未達となっている。欧米市場でも当初計画からは若干下振れで推移しているが、「息長く売って育てるので悲観視していない」(森下社長)。

おカネをつぎ込んだゲームからは離れられない

ゲームビジネスに浮き沈みはつきもの。しかも国内のスマホゲーム市場は飽和する一方で、各社が複数本の新作ゲームを相次いで投入するなど競争は激化の一途をたどっている。

しかし森下社長は「既存ゲームにはユーザーの資産があるため、新作ゲームはライバルにならない」と強気だ。国内で3700万回のダウンロードを記録したパズドラの場合、多くのユーザーが課金している。数年にわたりおカネを費やして遊んだゲームから、簡単にユーザーは離れられず、継続的に遊ぶようになるという。

新作ではなく、既存ゲームの人気が高まっているというコロプラの馬場社長

確かにスマホゲームの売上高ランキング上位には、リリースから1年以上が過ぎたゲームがずらりと並ぶ。ガンホーと同日に決算発表したコロプラの馬場功淳社長も「新作はヒットする難易度が高い一方で、既存ゲームが光り輝いてきている」とコメントし、昨年7月にリリースしたスマホゲーム「白猫プロジェクト」の再ブームという珍しい現象が起きていることを明かした。

だがブームには必ず終わりがくる。パズドラはアップデートを繰り返すことで緩やかな減少幅にとどめながら高水準を維持できるのか、それともユーザー離れが加速して漸減傾向が続くのか。既存のヒットタイトルが稼ぐうちに、次の収益柱となるゲームを出さなければ、減収減益に歯止めをかけることは難しい。ガンホーは難しい局面を迎えている。

(撮影:尾形文繁)

前田 佳子 東洋経済 記者

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まえだ よしこ / Yoshiko Maeda

会社四季報センター記者

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