5類移行後、検査費用や治療薬の費用は自己負担となった。
特に治療薬は高額(ゾコーバの場合、3割負担で1万5000円強)だ。そのため、検査や治療薬を希望しない人も増えている。
岡医師も「若い基礎疾患のない方には治療薬は必ずしも必要ではありません。診断しても解熱薬などの処方で、ヘルパンギーナなどと治療法が変わりません」という。この場合、風邪と同様、解熱鎮痛薬や咳止め、痰切り薬などが処方される。ただ、これらの薬の供給不足は現在もまだ問題となっている。
一方で、検査や治療薬が必要な人たちもいる。高齢者や持病のある人などだ。「この人たちは診断や治療が遅れると重症化しやすいため、優先的に受診して検査し、治療薬も飲んだほうが望ましい」と岡医師。
コロナの主な治療薬には、ゾコーバやパキロビッド、ラゲブリオがある。これらはウイルスの遺伝子複製を抑えたり、ウイルスの骨格となるタンパク質を作れなくしたりして、ウイルスの増殖を阻害することで効果を発揮する。
「ゾコーバは重症化リスクの低い人たちの回復を早くする薬ですが、若い人が飲んでも、効果としては、半日、回復が早まる程度。妊娠中の女性の服用は禁忌です。パキロビッドやラゲブリオは重症化リスクの高い人向けの薬です。パキロビッドはほかの薬との飲み合わせにやや注意が必要ですが、最も効果が示されている薬です。ラゲブリオは処方しやすい薬ですが、効果がやや劣るとされています」(岡医師)
自宅用キットを使う場合の注意点
冒頭のAさんもそうだったが、感染の有無をすぐに確認するために、自宅で抗原検査キットを使用する人もいるだろう。これにはいくつかの注意点があるという。
まず、研究用のものは精度が落ちるため、使用はお勧めしない。次に、保管しているものは使用期限も確認したほうがいい。期限切れのものは正確な結果を得られない可能性があるからだ。
「抗原検査の場合、陽性であればほぼ信頼できますが、陰性なら正確に検査できていない可能性もあり、感染初期には検査の空振りのケースもあります。家族にすでに数人感染者がいるような状況で発熱したなら、検査で陰性でもコロナと考えていいでしょう」(岡医師)
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